スメラルドの花言葉

防弾少年団に転がりついたアラサー。

<更新中>花様年華 THE NOTES_Love yourself承Her "ver.O" テヒョン*日本語訳

 

 

テヒョン <29 December YEAR 10> 12/29 10歳
靴も脱いだままに、カバンを放り投げてリビングに入った。本当に父さんがいた。どれくらいぶりなのか、どこに行ってたのか、そんなことは考えも及ばなかった。なにも考えず父さんの胸へ飛び込んだ。
そのあとのことは、よく覚えていない。酒の匂いが最初だったか、罵りが最初だったのか、頬を殴られたことだったのか。なにが起きているのかも分からなかった。酒の匂いがする荒い息遣いと、口臭。眼は血走り、髭は荒れ放題だった。大きな手が頬を叩いた。何か見ようとするとまた頬を叩かれた。そして俺は宙に持ち上げられた。真っ赤な目が怖かったけど、恐怖で泣くこともできなかった。父さんじゃなかった。いや、父さんだった。でも、違かった。ふたつの足が宙に揺れた。次の瞬間、壁に頭を強くぶつけられ床に転げ落ちた。頭が割れるようだった。視界がぼんやりしてたちまち真っ暗になった。息を切らした父さんの呼吸の音だけが頭の中に響いた。