スメラルドの花言葉

防弾少年団に転がりついたアラサー。

花様年華 THE NOTES_LY轉Tear : ジョングク*日本語訳

Y

26 July YEAR22

病院の花壇でひそかに花を折った。何度も笑みがこぼれて俯いた。夏の日差しが眩しく散らばった。病室のドアを叩いたけれど返事は無かった。もう一度叩くと、少し開いた。病室の中はなぜかひんやりしていた。そして誰もいなかった。とても静かな暗闇だけが敷かれていた。

病室を後にした。モヤモヤともどかしい気持で車椅子を押しながら、この廊下を横切っていくその子と出会った。急に吹いた風に辛うじて立ち止まると、髪の毛をひとつに結った女の子が立っていた。病院を出て少ししたところにベンチが見えた。いつか一緒に座って音楽を聴きながら、絵を描いた記憶が浮かんだ。そして屋上ではいちご牛乳を分け合って飲んだこともあった。
手にはまだ野花が握られていたけれど、もう渡す人がいなかった。



30 September YEAR 20

「チョンジョングク。お前近頃もあそこに行ってるんじゃないだろうな?」
僕は何の返事もしなかった。スニーカーの靴紐だけ見ながら立っていた。返事をしないと出席簿で頭を殴られた。それでも口は開かなかった。ヒョンたちと共に過ごした教室だった。ヒョンたちについて回ってその教室を発見してから、一日も行かない日は無かった。きっとヒョンたちだって知らないことだ。ヒョンたちは約束があると、バイトが忙しいと、現れないこともあった。ユンギヒョンやソクジニヒョンは何日間か姿を見ない時もあった。だけど僕は違った。一日だって休まずにその教室を訪ねた。一日中誰も来ない日だってあった。それでも大丈夫だった。その場所があるということだけで、今日でないなら明日、明日でないなら明後日にはヒョンたちが来るのだから、平気だった。

「集まって、駄目なことばかり学んだな。」また殴られた。視線をあげて睨みつけた。また殴られた。ユンギヒョンが殴られた姿が浮かんできた。歯を食いしばって耐えた。あの教室に行っていないという嘘をつきたくなかった。

今僕は再びその教室の前に立っていた。ドアを開ければヒョンたちがいるはずだった。一箇所に集まってゲームをしながら振り返って、なんでこんなに遅かったんだよと言うようだった。ソクジニヒョンとナムジュニヒョンは本を読んで、テヒョンイヒョンはゲームをして、ユンギヒョンはピアノを弾き、ホソギヒョンとジミニヒョンはダンスを踊っているかのようだった。

けれど、ドアを開いて見えたのはホソギヒョンだけだった。ヒョンは教室に残っていた僕たちのものを整理していた。僕はドアノブを掴んだままただ立っていた。ヒョンが近づいてきて肩に腕を回した。そして僕を連れ、外へでた。「もう、行こう。」背後で教室のドアが閉ざされた。
僕は気がついた。
あの日々は過ぎ去り、もう二度とやってこないということを。